サッシと温熱環境について

今回はサッシの性能と建物の温熱環境について少し感じたことをお書きします。

先日ある方の設計の中で、サッシの性能をどうするかというお話になり、具体的に間取りも固まりつつあるので、性能とサッシの金額とを比較してみました。f:id:haws:20140317111751j:plain

写真はその時の資料ですが、上はYKK-apさんのサッシの性能とか構造の資料(http://catalog.ykkap.co.jp/webcatalog/index.aspx)です。

サッシも近年急激に性能をアップさせており、いよいよというか、やっと、日本のサッシも世界基準的なものが出始めました。意外かもしれませんが、世界的に見てアルミサッシが主流の日本は、ちょっと温熱性能から見ると遅れていましたが、YKKさんなどは樹脂サッシに力を入れていくそうで、大いに期待したいところです。

そんなわけで、性能は良ければいいのですが、当然値段も高くなります。

枠はサッシメーカー、ガラスはガラス屋で別、という旧態然とした業界であったのが、最近は両方をメーカーが直接組立出荷する体制になりつつあるのと、二重価格構造の問題などで今一つクリアでないのは相変わらずですが、直接メーカーさんの担当者にお願いして価格の比較表などを取り寄せ、それぞれ性能と金額を出していただいたのが、中ほどの資料です。

それらを具体的な建物にあてはめ、年間の光熱費用がどれほどになるかを出したのが下の3冊で、新住協さん(http://shinjukyo.gr.jp/)のQpexというソフトを使わせていただいております。それぞれ、アルミ+複層ガラス、アルミと樹脂の複合サッシ+Low-Eガラス、そして樹脂サッシの3種類をあてはめてみました。

前提条件として、家中の温度を福井で暖房が必要な期間20°cに維持する。日射の影響、生活による室内の熱取得も考慮しています。

それぞれ、年間の暖房費は灯油100円/L 換算で 14,100円 25,800円安くなる計算結果でした。これは電気暖房の場合も併せて出せるのですが、ほぼ同じような結果でした。(ただし、電気の場合の暖房は熱効率COPというやつがどう見るかで変わってしまうのですが・・・)

サッシの金額と比較すると、どちらもほぼ10年くらいで元が取れる計算です。

これを安いとするか、高いとみるのか、その辺は人により家族により価値観の違いの出るところだと思います。

しかし確実に言えるのは、一昔前に比べ、樹脂サッシや3重ガラスアルゴンガス入りなどが、手の届く範囲に来ているということです。

これから住宅をお考えの方なら、選択肢の一つとなる時代になりました。

今回はサッシだけを変えて計算していますが、今後、断熱材を変えた場合の比較などもしていきたいと思います。